機動戦士ガンダム サンダーボルト

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「このジャズが聞こえたときがお前の最後だ!」
「カーラ、すごい! 君の作ったモビルスーツは俺の失った手足より自由だ!」

 
今回はガンダムサンダーボルトについてのレビューを書いていきます。一応、漫画版の内容も混ぜつつなので、アニメで追いかけていてネタバレ見たくない人は非推奨です。


 スペリオールで連載中の「機動戦士ガンダム サンダーボルト」略してサンボルは大人向けのガンダムと言った立ち位置で、舞台は「機動戦士ガンダム」のア・バオア・クー付近にあるサンダーボルト中域。原作を知っている方ならわかると思うが、1年戦争末期の話です。
 一応、初代の外伝的な立ち位置で、公式ではIFストーリーという体をなしています。いわば、閃光のハサウェイとかと同じ感じかなと。
 
 ア・バオア・クー戦の橋頭堡としてサンダーボルト中域があり、そしてその付近にサイド4ムーアというコロニーがあった場所です。ムーア同胞団という破壊されたコロニーから逃げ出した住人によって組織された連邦の師団が、自分のコロニーがあった場所に潜むジオンのスナイパー部隊を排除して補給線を築くために戦うのですが。
 ジオンのスナイパー部隊は非常に優秀で瞬く間に連邦のモビルスーツを撃滅していく。そのスナイパー部隊は腕や足などを失った傷痍軍人で組織されたリビングデッド師団が引き受けており、両足を陸戦で失ったエースパイロット:ダリル・ローレンツが今作の主人公の一人です。
 そして、スナイパー排除のために出撃していたムーア同胞団のパイロット:イオ・フレミングは乗っていたジムを大破させられたのだが、運良くジオンのスナイパー部隊を生身で不意打ちして機体を奪うことに成功。そこで初めて、連邦側の主人公イオとジオン側の主人公ダリルが出会うという感じです。

お前がスナイパー部隊のエースらしいが、音楽の趣味は平凡だな」
「運がいいだけの男は口が軽い!」

 このサンダーボルトには音楽が深く関わっており、随所に様々な歌や曲が流れています。
 イオはフリージャズが好みで、ダリルは恋愛物のポップスが好きという役回り。

「このジャズが聞こえたら、俺が来た合図だ」

 そう残して、鹵獲したリックドムに乗り去っていくイオ。そして、イオはジャズを流しながら精鋭機のフルアーマー・ガンダムに乗ってリビングデッド師団に襲いかかるのです。その力は圧倒的で、艦船やモビルスーツが簡単に潰されていく。そして、スナイパー部隊も壊滅させられ、アニメ版ではダリルの右腕さえも奪い去り……
 ア・バオア・クーの戦いも終盤に差し掛かり、リビングデッド師団はサンダーボルト宙域の死守を命ぜられる。もちろん、守りきれるような戦力はなく各々が死を覚悟するのだが、セクストンという科学者が前々から研究していたリユースサイコデバイスという新技術を投入しようと進言する。
 このリユースサイコデバイスが本作でも重要な役割を持っており、この装置を使えばモビルスーツを手足のように扱えると言ったもの。だが、人道的な問題を抱えており、それは四肢を切り落とさなければ100%の力が発揮できないのです。
 そんなパイロットは居ない、リユースサイコデバイスの中心的な技術者であり、本作のヒロインであるカーラは拒否するが、右手を失ったダリルの残された左腕を切れと命令される。ダリルは仲間を守るために腕を斬ることを承認し、カーラは泣く泣く自分の心を削って左腕を斬ってしまう。その描写が非常にグロテスクで、戦争の生臭さを感じさせられました。
 リユースサイコデバイスの能力は凄まじく、エーススナイパーのダリルはムーア同胞団を壊滅させる多大な戦果を上げるのです。その圧倒的な機動力と、艦隊を滅ぼすために異常に積み込まれた武装。まさしく悪魔の実験機といってもふさわしい力を発揮します。
 それに対してイオがガンダムで立ち向かう。戦闘シーンは非常に精緻で、一進一退の攻防を繰り広げ、まさしく死闘と言った感じ。ビームとミサイルが飛び交い、ダリルの人間離れした動きに超一流の腕を持ったイオの対決はぜひともアニメで見て欲しい!
 最終的に相打ちとなったイオとダリル。イオから言わせてみれば負けたようなもので、そしてダリルの四肢を失った姿を見て驚愕と強い屈辱を覚える。
 その後にジオンの援軍がやってきて、イオは捕まるのだが。その際にイオとダリルが会話するシーンがあり、イオはダリルの体を煽り、そして自分たちは戦争に魅入られ、戦い続ける宿命にあることを告げる。
 アニメもマンガも非常に虐殺のシーンが多く、戦争の無情さを感じさせながらも、その戦争の空気を紛らわせるために流されるジャズやポップス、お経などが本作にリズムを与えているような感覚に溺れさせてくれます。
 
 非常によく出来たガンダムの外伝で、初代が好きな宇宙世紀原理主義者も、SFが大好きなガンダムを知らない人も楽しめる硬派な作品になっております。
 アニメに関してもよく出来ており、小分けにして売られていますが、見る勝ちは大いにあるかと。
 ア・バオア・クー戦後で南洋同盟という東・東南アジアを支配する地球の国の1つがリユースサイコデバイスを復活させようとするのを、イオを含んだスパルタンという強襲揚陸艦が特殊任務としてリユースサイコデバイスの略取及び破壊を目指していくのだが。ジオン残党として戦うダリルもリユースサイコデバイスを復活させようと南洋同盟に戦いを挑んでいく。
 次の話はそんな感じで、太田垣康男先生のオリジナルモビルスーツ:アトラスガンダムのお披露目でもあります。このモビルスーツがまた味があって、水陸両用ガンダムであり、そしてジオンの技術(水中用に適した球体関節・背骨を思わせる動物的なデザイン)も組み込まれた異様な形になっております。何と言ってもサブレッグという機動力向上のための特殊な武装が見もの。自分はそのデザインに惚れてガンプラ買ってしまいましたw

 あまり感想という感想は言えなかったかもしれませんが、マンガとアニメの雰囲気が非常によく、そして悲壮感溢れるガンダムの戦争を映し出していて。子供向けではありませんが、重厚な描写で描かれた戦争は読者の心に突き刺さる物だと思います。台詞回しも秀逸で、ついつい口ずさみたくなる。最初の方に書いたセリフが1番のお気に入りです。
 興味がある人はぜひとも買ってみてください! 損はしないと思います。

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